
原状回復工事とは?現状回復・原状復帰との違いや工事内容をプロが解説【最新版】

原状回復とは、「賃貸借契約が終了した際に店舗やオフィス、部屋を入居前の状態に戻す」という意味です。また、その際に必要となる工事を原状回復工事といいます。
この他にも「現状回復」「原状復帰(復旧)」という用語もあり、それぞれの違いが何か分からない方や、原状回復はどこまでやるべきか疑問に思う方も多いかと思います。
本記事では、主に事業者様に向けて、原状回復工事の意味、範囲、費用などを網羅的に解説します。
「原状回復」の意味とは?「現状回復」「原状復帰(復旧)」との違い

物件の退去や工事に関してよく耳にする「原状回復」。
似た言葉に「現状回復」や「原状復帰(復旧)」がありますが、それぞれ意味が異なります。
まずは3つの用語の違いを整理しましょう。
用語の違い一覧(比較表)
| 用語 | 意味 | よく使われる場面 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 原状回復 | 入居前(契約開始時)の状態まで戻すこと | 賃貸住宅・オフィス・店舗の退去時 | 基本的には「借主の義務」。契約によって範囲が決まる |
| 現状回復 | 現在の状態に応じて必要な部分だけ元に戻すこと | 工事・修理業界、設備トラブル対応 | “今の状態ベース”で必要範囲のみ戻すニュアンス |
| 原状復帰(復旧) | 事故・災害・故障などで損傷した箇所をもとの状態へ戻すこと | 火災保険・設備故障・災害復旧工事 | 「原因がある損傷」に対する復旧という意味合いが強い |
用語の違いを正しく理解することが大切
「原状回復」と「現状回復」は字面が似ているため混同されがちですが、賃貸物件では契約開始時の状態に戻す=原状回復が原則です。
一方で、災害・破損など“特定の原因による損傷”を直す場合は、原状復帰(復旧)が使われます。
この違いを理解しておくことで、
- 契約上どこまで工事が必要?
- 借主負担になる部分は?
- 貸主が対応すべき復旧範囲は?
といった点を正しく判断しやすくなります。
原状回復工事の意味とは?具体的な工事内容

現状回復工事とは、賃貸契約で定められた「入居前の状態」へ戻すために行う工事のことです。オフィス・店舗・テナント・住居など幅広い物件で必要となり、内容は業種や入居時の内装仕様によって大きく異なります。
原状回復工事で行われる主な作業
- 壁紙の張り替え・補修
- 床材(タイルカーペット・フロア材など)の張り替え
- 天井の補修・塗装
- 照明・電気設備の撤去・原位置復旧
- 空調設備の撤去・清掃
- パーテーション・造作物の撤去
- 看板・サインの撤去
- 給排水・ガス・ダクト設備の撤去(店舗の場合)
- 最終クリーニング(床・壁・ガラスなど)
現状回復工事のポイントと注意点
原状回復は「入居前の状態に戻すこと」が基本ですが、実際の工事範囲は賃貸契約書・管理規定・入居時の写真によって判断します。
例えば、以下のような点が重要です。
- 工事範囲は物件によって大きく異なる
同じオフィスでも、
・クロス張り替えのみで完了する物件
・造作物をすべて撤去して“スケルトン状態”に戻す物件
と範囲はさまざま。 - 経年劣化は借主の負担ではないことも
自然な汚れや日焼けなどの「経年劣化」は借主の負担ではない場合があり、契約内容を確認することで不要な工事を避けられるケースもあります。 - 業種によって必要な工事が変わる
店舗・美容室・飲食店の場合、給排水・ガス・ダクトなど専門工事が必要となり、オフィスよりも工事範囲が広くなりやすい特徴があります。
なお、原状回復工事の責任範囲については以下の記事で詳しく解説しています。

原状回復工事とは?オフィス・飲食店の原状回復の流れ

現状回復工事は、物件を「入居前と同じ状態」に戻すための一連の工程です。ただし、オフィスと飲食店では工事内容・工程・確認事項が大きく異なるため、まずは一般的な流れを把握しておくことが重要です。
ここでは、オフィス・飲食店それぞれの原状回復工事の流れをわかりやすく解説します。
オフィスの原状回復工事の流れ
オフィスは比較的標準化された工事が多く、工程もシンプルなケースが中心です。
- 原状回復の範囲
- 設備の撤去義務・残置許可
- 解約予告期間
などを確認します。
専門業者が現地を確認し、
- 壁紙や床材の状態
- 造作物やパーテーションの量
- 照明・電気設備の数
などをチェックし、工事内容を確定します。
工事範囲に応じた費用を算出し、必要に応じてオーナー側との調整を行います。
- パーテーションや造作物の撤去
- カーペット・クロスの剥がし
- 電気・照明設備の撤去
など、退去条件に応じて原状に戻します。
- 壁紙(クロス)の張り替え
- 床材の張り替え
- 天井補修・塗装
など、仕上げ作業に入ります。
床・壁・窓など最終クリーニングを行い、管理会社・オーナーによる立会いを経て引き渡しとなります。
なお、オフィスの原状回復工事については以下の記事で詳しく解説しています。

飲食店の原状回復工事の流れ
飲食店はオフィスに比べて設備が多く、工事が大型化しやすいのが特徴です。
飲食店の場合、下記のような“追加の撤去義務”があることが多いです。
- 厨房設備(コンロ・シンク・作業台)
- 給排水・グリストラップ
- ガス管
- ダクト・換気設備
- 厨房防水
→オフィスよりも確認事項が多いのがポイント
専門業者が厨房設備やダクトの長さ・構造を確認。撤去が必要な部分と残置できる部分を整理します。
飲食店は工事範囲が広いため、見積もり金額の差が出やすく、相見積もりで適正価格を把握するのが重要です。
- 厨房機器の撤去
- 給排水設備・ガス管の撤去
- ダクト解体
- 壁・床・天井の撤去(必要に応じてスケルトン化)
飲食店は設備が多いため、この工程がもっとも時間と費用がかかる傾向にあります。
オフィス同様、壁・床・天井の内装復旧を行いますが、油汚れ・熱・湿気など特有のダメージに応じた補修が必要になります。
油汚れの除去や排水設備の清掃を行い、立会いの上で引き渡しとなります。
なお、飲食店の原状回復工事については以下の記事で詳しく解説しています。

原状回復工事とは?かかる期間について

原状回復工事にかかる期間は、物件の広さ・業種・工事範囲・設備量・撤去条件などによって大きく変動します。同じ坪数の物件でも、造作の量や設備の複雑さによって期間が2倍以上変わることもあり、早めのスケジュール確認が必要です。
ここでは、一般的な原状回復工事の期間目安を「オフィス」と「飲食店」に分けて紹介します。
原状回復工事の期間目安
| 種類 | 期間目安(10~30坪) | 面積別目安 | 期間が長くなる理由 |
|---|---|---|---|
| オフィス | 約1~2週間 | ・10坪前後:3~7日 ・20~30坪:1~2週間 ・50坪以上:2~3週間 | 造作が少なく工事が標準化されている、専門設備がない、管理規定の範囲で作業しやすい |
| 飲食店 | 約2~4週間 | ・10坪前後:1.5~3週間 ・20~30坪:2~4週間 ・50坪以上:1~2ヶ月 | 厨房設備の撤去が必須、給排水・ガス・グリストラップの対応、ダクト撤去や油汚れによる補修が多い、商業施設は深夜作業になる |
原状回復工事をスムーズに進めるコツ
- 早めに解約予告し、見積もり・現調の時間を確保する
- 工事範囲を契約書で明確にする
- ビル管理規定を事前に確認する
- 繁忙期を避ける
工事期間は早く終わらせる工夫ができる部分です。
複数社に相談することでより現実的なスケジュールが見えてきます。
原状回復工事とは?費用相場について

原状回復工事の費用は、物件の広さ・工事範囲・設備の有無・立地条件などによって大きく変わります。
まずは、代表的な物件タイプごとの費用相場を一覧で確認してみましょう。
原状回復工事の費用相場
| 種類 | 坪単価の目安 | 20坪の場合の費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| オフィス | 約2~4万円/坪 | 約40~80万円 | 造作が少なく、比較的標準化された工事が多い |
| 物販店舗 | 約2.5~5万円/坪 | 約50~100万円 | 棚・造作や照明量により変動しやすい |
| 飲食店 | 約3~6万円/坪 | 約60~120万円 | 厨房設備・給排水・ダクト撤去などで費用が高騰しやすい |
※別途、産廃車車両費・廃材小運搬費・発生材処理費など、産業廃棄物処理に関する費用がかかります。
費用が大きく変動する主なポイント
- 入居時の内装グレード
高級フロア材・造作・デザイン性の高い内装ほど、復旧費用も高くなります。 - 設備の量(電気・空調・給排水など)
特に飲食店は設備量が多く、撤去費・復旧費が高くなる傾向があります。 - 解体範囲の広さ
スケルトン返しが条件の場合、工事範囲が増え、費用も大幅に上がります。 - ビルの管理規定
夜間作業限定、搬入出ルートが複雑、養生範囲が広いなどの場合、追加人件費が発生しやすくなります。 - 立地条件
都心部や商業ビル内は、作業工程・搬出ルールが厳しく、料金が高くなる傾向があります。
費用を抑えるために重要なこと
- 契約内容を確認し「どこまでが必須工事か」を明確にする
- 相見積もりで比較し、費用差の理由を確認する
- 不要な撤去・復旧が含まれていないかチェックする
- 原状回復とスケルトン工事をセットで依頼すると割安になる場合も
原状回復工事を依頼する際のポイント

原状回復工事は、契約内容・工事範囲・設備量によって必要な作業が大きく変わるため、業者選びや事前準備が工事費用や納期に大きく影響します。
ここでは、依頼前に必ず押さえておきたいポイントをご紹介します。
- 契約書で「原状回復範囲」を必ず確認する
・どこまで復旧すべきなのか
・造作物・設備の撤去義務があるか
・スケルトン返しが必要か
などを事前に確認しないと、不要な工事を依頼してしまうリスクがあります。
特に飲食店は設備が多いため、撤去範囲の確認が重要です。 - 退去日から逆算してスケジュールを組む
原状回復工事には、
・現地調査
・見積もり
・管理会社との調整
・工事
といった工程が必要です。
「退去日まで時間がない!」というケースは見積もりが割高になることも。
早めに問い合わせておくことで、適切な費用で進められます。 - 複数社で相見積もりを取り「内訳」を比較する
専門用語や工事項目が多いため、金額だけでは判断できません。
次の点を必ず確認してください。
・撤去範囲が適切か
・仕上げ材のグレードの差
・処分費用や搬出費が含まれているか
・夜間作業費・管理費の記載
最安値=良い業者とは限らず、内訳が明確な業者のほうがトラブルが少ない傾向にあります。 - ビルの管理規定を事前に把握する
以下のような規定がある場合、工事費用や工期が変わります。
・搬入出可能な時間帯(夜間限定の場合も)
・養生ルール
・工事申請の有無
・使用できるエレベーターの制限
管理規定が厳しいほど追加費用が発生しやすいため、依頼前に確認して業者に共有することが重要です。 - 業者の施工実績や専門性を確認する
原状回復工事は、業種にとって必要な知識が異なります。
・飲食店→ダクト・給排水・衛生設備
・美容院→給排水・電気容量
・オフィス→電気・ネットワーク設備
・商業施設→夜間作業・防火区画
業者によって得意・不得意があるため、自分の業種での施工実績があるかを必ずチェックしましょう。 - 退去後のトラブルを避けるため「工事前写真」を残す
「入居時の状態と違う」と指摘されるトラブルを防ぐため、
・入居時の写真
・現状の写真
を残しておくと安心。返金トラブルや追加工事の防止にも役立ちます。 - 追加費用の発生条件を確認しておく
工事には「開けてみないとわからない」部分が存在します。
・壁内部の腐食
・床下の配線・配管の状態
・ダクト内の油汚れ
・天井内部の劣化
追加費用が発生する可能性について、事前に説明してくれる業者ほど信頼できます。
なお、以下の記事にておすすめの原状回復工事業者をご紹介しています。


原状回復工事の意味とは?まとめ

原状回復工事とは、物件を入居前の状態へ戻すために行う重要な工事であり、契約内容・工事範囲・設備量などによって必要な作業や費用が大きく変わります。
本記事で解説したように、
- 「原状回復」「現状回復」「原状復帰」の違いを理解すること
- オフィス・飲食店など業種ごとの工事内容と流れを把握しておくこと
- 工事期間や費用相場を事前に確認すること
- 契約内容・管理規定を踏まえたうえで適切な工事範囲を決めること
といったポイントを押さえることで、退去トラブルの回避や余計な出費削減につながります。
しかし実際には、
- どこまで直せばいいのか判断できない
- スケジュールがタイトで急いで相談したい
- 見積もりの妥当性がわからない
- 設備撤去や内装の範囲が複雑
といった悩みを抱える方も少なくありません。
株式会社アクシスでは、オフィス・飲食店・物販店舗・商業施設など、幅広い物件での原状回復工事・スケルトン工事を多数手掛けてきました。
- 現地調査から見積もり
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