飲食店舗の原状回復はどうすべき?ポイントや注意点をプロが解説

飲食店を閉店・移転するときに避けて通れないのが「原状回復工事」です。これは契約で「借りた当初の状態に戻すこと」が義務付けられているため、どの店舗オーナーにとっても重要なプロセスになります。

特に飲食店舗は、オフィスや物販店とは異なり、厨房や排気設備、給排水設備など特殊な設備が多く設置されています。さらに油汚れや臭気の除去、グリーストラップや換気ダクトの清掃・撤去など、飲食店特有の工事が必要です。そのため、一般的な原状回復に比べて費用や工期が大きくなりやすい傾向があります。


また、原状回復の範囲は「スケルトン工事」「居抜き」など契約形態によっても異なります。スケルトン工事は費用負担が大きい一方で、居抜きであればコストを大幅に抑えることが可能です。ただし、居抜きはオーナーや管理会社の承認が必要で、必ずしも選べるとは限りません。

飲食店オーナーにとって、原状回復工事は「閉店コスト」に直結する非常に大きな出費です。しかし工事範囲の理解や業者選びの工夫によって、数百万円単位で費用を抑えることができるケースもあります。

本記事では、飲食店舗の原状回復工事のポイントや注意点をお伝えいたします。

弊社(株式会社アクシス)は、千葉県木更津市を拠点とする原状回復工事会社です。賃貸住宅ではなく、テナント・オフィス・公共施設を専門に対応しております。

創業以来培ってきた専門知識と現場対応力を活かし、現場の状況やご希望に合わせた“安心・安全・一気通貫”の工事をご提供いたします。東京・千葉・神奈川県の原状回復工事を承っておりますので、どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

飲食店舗の実績も多数ございます。

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目次

飲食店舗における原状回復の範囲

飲食店舗における原状回復の範囲

飲食店舗の場合、単に壁紙や床を直すだけでなく、厨房や排気設備など「飲食店特有の設備」に関する工事も発生します。ここでは、工事の2つの基本的な形態を紹介します。

飲食店舗のスケルトン工事とは

スケルトン工事とは、床・壁・天井・設備などをすべて撤去し、コンクリート打ちっぱなしの状態まで戻す工事です。ビルのオーナーから指定されるケースが多く、飲食店の場合は特に「原則スケルトン渡し」とされる契約が一般的です。厨房設備や排気ダクト、空調設備なども撤去対象となるため、費用と工期が大きくなりやすい点に注意が必要です。

飲食店舗の居抜きとは

居抜きとは、店舗の内装や厨房設備を残したまま次の借主に引き渡す方法です。原状回復工事を最小限にできるため、工事費用の削減や工期の短縮につながります。ただし、オーナーや管理会社の承認が必要であり、設備の状態や衛生基準によっては居抜きが認められない場合もあるため、事前確認が重要です。

飲食店舗における原状回復工事の具体的な内容

飲食店舗における原状回復工事の具体的な内容

飲食店の原状回復工事では、次のような作業が代表的です。いずれも店舗の状態や契約条件によって内容が変わるため、事前に確認することが大切です。

  • 厨房機器の撤去
    ガス台・フライヤー・製氷機・冷蔵庫など大型機器を搬出します。重量物が多いため、人力だけでなくフォークリフトや専用の搬出ルートを確保する必要があります。さらに、ビル内ではエレベーターの使用許可や床養生なども必要となり、費用や工期に影響します。
  • 排気ダクト・換気設備の撤去
    飲食店ならではのポイントが廃棄設備です。ダクト内部には油汚れや臭気が付着しており、単純な撤去だけでなく徹底した清掃が求められます。高所作業になるケースも多く、専門の設備業者が入る必要があるため、工事費用の大きな割合を占めます。
  • 給排水設備の撤去・補修
    厨房床に設置されている排水溝やグリーストラップを撤去し、床面を平らに戻す工事を行います。排水配管の閉栓や補修も必要で、場合によってはコンクリートを斫る作業になることもあります。
  • ガス設備の撤去
    厨房には多数のガス機器が接続されています。原状回復ではガス管を閉止し、安全に撤去しなければなりません。ガス会社との調整が必要になるケースも多く、工程管理が重要です。
  • 電気設備の撤去
    照明・配線・ブレーカー・コンセントなどを撤去し、元の状態に戻します。厨房用の動力電源がある場合は専門工事が必要で、撤去後の安全確認も欠かせません。
  • 内装工事
    飲食店は油や煙で壁や天井が傷みやすく、クロス張替えだけでなく、耐熱パネルや防火剤の撤去も必要になることがあります。床材も油が染み込んでいることが多く、新品への張替えが求められるケースがほとんどです。
  • 外装・看板の撤去
    店舗の顔となるファサードや袖看板、窓に貼ったカッティングシートなども撤去対象です。商業施設内のテナントでは、景観規定に沿った仕上げが求められるため、専門的な対応が必要になります。
  • 清掃・仕上げ
    工事が終わった後は、油汚れや臭気を除去し、オーナーや管理会社に引き渡せる状態に仕上げます。特に飲食店の場合、臭気が残っていると再工事を求められることもあるため、丁寧な仕上げが重要です。

飲食店舗における原状回復工事の費用相場

飲食店舗における原状回復工事の費用相場

飲食店舗の原状回復費用は、店舗の広さ・入居時の契約条件・設備の内容・工事の範囲によって大きく変動します。厨房や排気設備など特殊な設備の撤去が含まれることから、一般的にオフィスや物販店よりも高額になる傾向があります。

飲食店舗における原状回復工事の相場費用:坪数ごとの目安

  • 10坪前後の小規模飲食店:150万~250万円
    厨房設備の数が限られるため比較的費用を抑えやすいですが、それでもオフィスよりは高めになります。
  • 20~30坪程度の中規模飲食店:300万~600万円
    客席と厨房がしっかり分かれており、設備の数やダクトの長さからも費用がかさみやすいゾーンです。
  • 50坪以上の大型店舗:800万~1000万円以上
    大型厨房設備の撤去や、商業施設内テナントの場合は規定に沿った工事が必要になり、コストが跳ね上がるケースが多いです。

飲食店舗における原状回復工事の費用相場:費用がかさむケース

  • スケルトン渡しが必須の場合
    飲食店では多くの契約でスケルトンが求められます。すべての造作や設備を撤去するため、費用も数百万円単位で増える可能性があります。
  • 排気ダクトが長い・複雑な場合
    特にビルの高層階に入っている飲食店では、排気ダクトの撤去費用が高額になりがちです。
  • ビルの管理規約で指定業者が決まっている場合
    自由に業者を選べず、指定業者の見積りが高額になるケースもあります。

飲食店舗における原状回復工事の費用相場:費用を削減できるケース

  • 居抜きでの引き渡しが認められる場合
    厨房や内装をそのまま残して次の借主に引き渡せると、大幅な費用削減につながります。
  • 厨房機器や家具をリユース・買取してもらう場合
    処分費用を減らすだけでなく、買取金額を工事費用に充てることも可能です。
  • 部分的な原状回復が許される場合
    管理会社との交渉次第で、床や壁の一部修繕だけで済むケースもあります。

飲食店舗における原状回復工事の費用相場を把握するコツ

飲食店舗の原状回復工事は、同じ広さでも数百万円単位で差が出ることがあります。そのため、必ず複数社に見積りを依頼し、工事範囲や金額の根拠を比較することが重要です。また、見積りの際は「厨房設備の撤去費用はいくらか」「ダクト工事はどの範囲までか」など、内訳を細かく確認することで、不要な工事や過剰な請求を避けられます。

飲食店舗の原状回復費用を削減するポイント

飲食店舗の原状回復費用を削減するポイント

飲食店舗の原状回復は、工事範囲が広く費用が高額になりやすいのが難点です。しかし、オーナー側の工夫や交渉次第で、数十万~数百万円単位でコストを削減できることもあります。ここでは代表的な削減方法を紹介します。

飲食店舗の原状回復費用を削減するポイントその①:居抜きとして次の借主に引き継ぐ

最も効果的な削減方法が「居抜き」での引き渡しです。厨房設備や内装を残したまま新しい借主が活用するため、大規模な撤去工事が不要になります。特に飲食店の場合、内装や厨房設備が一式そろっている状態は次の借主にとってもメリットが大きいため、居抜きで借りたいというニーズは多いです。

ただし、オーナーや管理会社の承諾が必要になるため、早めに居抜き交渉を始めることが重要です。

飲食店舗の原状回復費用を削減するポイントその②:厨房機器や什器をリユース・買取してもらう

厨房機器や什器を処分すると、重量物の運搬や廃棄費用がかかります。しかし、まだ使用可能な機器であれば中古業者に買い取ってもらえることがあります。

例えば、冷蔵庫や製氷機、ステンレスの調理台などは需要があるため、買取金額がつくケースも。処分費用がかからず、逆に収入が得られるので、結果的に原状回復費用の削減につながります。

飲食店舗の原状回復費用を削減するポイントその③:複数業者から相見積りを取る

原状回復工事の費用は業者によって大きく異なります。同じ工事内容でも見積り金額が数百万円違うことも珍しくありません。

そのため、必ず複数業者から相見積りを取り、工事範囲や費用の根拠を比較することが大切です。特に「厨房設備の撤去」「ダクト工事」の金額は差が出やすいため、注目して確認しましょう。

飲食店舗の原状回復費用を削減するポイントその④:契約条件を事前に確認し、交渉する

原状回復工事の範囲は賃貸契約書や管理規約で定められています。しかし、中には「スケルトン必須」とされていても、管理会社やオーナーとの交渉で部分的な工事に緩和される場合もあります。

例えば、壁や床の仕上げをそのまま残して良い、厨房設備の一部を残置して良い、など柔軟に対応してもらえるケースも。交渉の余地があるかどうかを事前に確認するだけで、数十万円以上の削減につながることがあります。

飲食店舗の原状回復費用を削減するポイントその⑤:工事時期を調整する

業者の繁忙期(3月や9月などの退去シーズン)は費用が高めに設定されることがあります。可能であれば工事時期をずらし、閑散期に工事を依頼すると費用が抑えられることもあります。

飲食店舗の原状回復費用を削減するポイントその⑥:ワンストップ対応できる業者を選ぶ

厨房設備・ダクト・内装・解体などを別々の業者に発注すると、中間マージンが発生し費用が高くなりがちです。最初からワンストップで対応できる業者に依頼すれば、余計なマージンを削減でき、工程管理もスムーズになります。

飲食店舗の原状回復まとめ

飲食店舗の原状回復まとめ

飲食店舗の原状回復工事は、オフィスや物販店に比べて特殊な工事が多く、費用も高額になりがちです。厨房機器や排気ダクト、給排水設備など、飲食店特有の設備を撤去・補修しなければならないため、契約条件や工事範囲によって数百万円単位で費用が変動するのが実情です。

特に注意すべきなのは、契約で「スケルトン渡し」が求められているケースです。壁・床・天井をすべて撤去し、コンクリート打ちっぱなしの状態に戻す工事は、工期も長く費用も大きくなります。一方で、居抜きでの引き渡しが可能であれば、工事費用を大幅に削減できる可能性もあります。


今回ご紹介したように、工事費用を抑える方法は複数あります。居抜きでの引き渡し交渉や、厨房機器のリユース、複数業者からの相見積りなど、ちょっとした工夫が大きな削減につながります。さらに、契約条件をしっかり確認して管理会社やオーナーに交渉することで、必要以上の工事を避けられることもあります。

ただし、飲食店舗の原状回復は専門性が高く、厨房設備や排気設備の撤去には特に専門知識が不可欠です。素人判断で進めてしまうと、管理会社からのやり直し要求や追加費用の発生につながる恐れもあります。そのため早い段階で信頼できる専門業者に相談し、見積りや工事範囲を明確にすることが重要です。


閉店や移転はオーナーにとって大きな決断であり、経済的な負担も小さくありません。だからこそ、正しい知識を持ち、計画的に進めることが後悔しないポイントです。飲食店舗の原状回復を検討されている方は、ぜひ本記事で紹介したポイントを参考にしながら、自店舗にあった最適な方法と業者を選んでみてください。

弊社(株式会社アクシス)は、千葉県木更津市を拠点とする原状回復工事会社です。賃貸住宅ではなく、テナント・オフィス・公共施設を専門に対応しております。

創業以来培ってきた専門知識と現場対応力を活かし、現場の状況やご希望に合わせた“安心・安全・一気通貫”の工事をご提供いたします。東京・千葉・神奈川県の原状回復工事を承っておりますので、どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

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